昨日は医師会の仕事で介護職員向けの啓発冊子の内容を打ち合わせていました。
いろいろ話しているうちに、認知症とEQは意外に相性がいいかもしれないとふと思いました。
認知症というのは、脳細胞やその周囲に変化がおきて正常に働かなくなっていく病気です。そして少しずつ進行し最終的には基本的な生活動作もできなくなって寝たきりになってしまいます。
認知機能というのは、記憶を引き出す能力や言語を作る能力、空間を認知する能力、計算力などですが、単純化していうと知能の部類に属する能力です。このような能力が低下すると、こどもの顔が分からなくなったり、簡単な会話しかできなくなったり、自分がどこにいるのかわからなくなったりします。
言いたいことが伝わらない、何を言ってもまともに相手してもらえない、ばかにされる・・・。そんな思いが患者さんの中に蓄積していくと、ドカーンと爆発することがあります。
怒り、焦り、悲しみ・・・、こういった感情が爆発します。
こういうできごとを医療や介護の世界では「BPSD(周辺症状、問題行動)」といいます。
医学用語でこのように表現すると、患者さんの病気の症状のような印象ですが、別の方向から感情のコミュニケーションがうまくいかなかった結果起きる現象という見方をすると、患者さんだけの問題とはいえない気がします。
つまり、「BPSD」というのはEQを使った情動のコミュニケーションを機能させれば、回避できる問題かもしれないのです。
認知機能が低下していくと知能<感情という状態になっていきます。ということはおのずとEQを使ったコミュニケーションが重要になっていくということですよね。
若いうちからEQを鍛えておけば、好かれるおじいちゃん、おばあちゃんになれること間違いなしです。EQ(こころの知能指数)を鍛えて楽しい老後に備えましょう。