最近ダイアモンドにまつわる話題が続きましたので、ご紹介します。
ひとつ目は「コイヌール」
イギリス王室の王冠に飾られているダイアモンドで、世界最古のダイアモンドとも言われています。エリザベス女王の国葬の際に話題になり、原産国インドへの返還を求める声が高まったということです。
ペルシャ語で「光の山」を意味するこの105カラットのダイアモンドはムガール帝国の記録にもそれらしい記述があるとのことで、人類の歩みとともにたくさんの歴史を見てきたことでしょう。想像をかきたてられます。
次は「ロンズデーライト」
六角形の結晶構造を持つこの珍しいダイアモンドが、ユーレイライト隕石に含有されていることが分かり、太陽系ができ始めた頃小惑星と衝突した古代の準惑星のマントルの中で形成された天然の物質であることが裏付けられました。ロンズデーライトは、宝石としての価値はあまりないかもしれませんが、通常のダイアモンドより硬いことが知られており、新しい素材の開発につながることが期待されています。
金やダイアモンドは壊れてなくならない物質の象徴です。この世界はエントロピーが増大していく世界なので、どんな物質も例外なく崩壊してバラバラになる運命なのですが、人間の寿命よりもはるかに長い年月バラバラにならずにすむ頑丈な物質は永遠性を夢見させてくれます。しかも美しいので、装飾品としての価値を認められています。
ちゃんとしたダイアモンドを購入しようと思うと目が飛び出るくらいの値段がしますので、なかなか買えませんが、たとえ買ったところで自分の身体の一部になることは絶対にありません。少し前にアメリカの歌手が大きなダイアモンドを額に埋め込んでいたが、コンサートの最中に客席に飛び込んだどさくさにまぎれて、ダイアモンドがもぎ取られてしまったというニュースがありました。
価値があるものを自分だけのものにしようとしても、どうやっても独占することはできないのです。それよりも、身に着けてたくさんの人の目を喜ばすことを通して、多くの人を喜ばせることができると考えるべきです。自分は一時的な管理者にしかなれませんが、その物質の価値を多くの人のために役立てようと考えるならば、ダイアモンドを購入する行為は自己中心的な行為ではないといえます。