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よろこび

2022.09.29

category_[愛]

久しぶりにR・タゴールの詩を引用します。

ただし今回は、詩そのものよりもその解説文に注目してください。

このように、おんみの歓びは わたしのなかに みちみちています。このように、おんみはわたしのもとに降りてこられたのです。おお、おんみ、あらゆる天界の主よ、もしわたしが存在しなかったなら、おんみの愛は どこにあるのでしょう?

おんみは このすべての富を分かち合う盟友として わたしをお選びになりました。わたしの心のなかには おんみの歓びの尽きせぬ戯れがあります。わたしの生命のなかにおんみの意志が たえず 形となって現れます。

そして、このために、王のなかの王であるおんみが わたしの心を虜にしようと、美しく身を飾られたのです。また、このために、おんみの愛は おんみの恋人の愛に溶け、二人の全き結合のなかに、おんみの姿が見られるのです。

(R・タゴール ギタンジャリ 森本達雄訳註)

以下訳注

詩人哲学者タゴールのユニークな世界観をうたった注目すべき作品。タゴールは科学者アインシュタインとの対談でも言ったように、もし人間が、あるいはわたしがこの世に存在しなかったら、人間にとって、わたし個人にとって神は存在しないのと同然である、と考えた。神の愛はそれを注ぐ相手、すなわち人間があってはじめて完成するのである。言わば神と人間は、愛し愛されるリーラー(あそび、戯れ)を演じているのである。・・・。

たしかにユニークな見方だと思います。愛情は物質のように単独では存在できない、つまり愛する対象が存在して初めて作用するという物理法則に似た原則だとタゴールは語っています。、そしてそれは創造主である神すら例外でない原則だと言うのです。