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鏡の世界

2023.06.24

category_[量子力学]

SFや漫画の中には鏡の中の世界に入り込む設定が登場することがあります。

もちろん、そんなものが存在するはずはないのですが、鏡というのはそんな想像力を刺激してしまうほど不思議な存在です。

さて、この鏡が古代から人間の生活の中で際立った存在であり続けた一番の理由は、私達が見ている世界をそのまま映し出すという性質にあります。もちろん空気や水面など自然の風景の中にもそのような性質を持つものがあるのですが、鏡は人間が自由に取り扱うことができ、見たいときに見たいものを見られるということがとても重要であったと思います。

現代ではこの映し出す能力の仕組みはすでに解き明かされています。鏡が他の物質と異なるのは、鏡の表面が光をほぼ完全に反射してしまうという性質です。ですので、鏡にぶつかった光はきれいに反射され、その光の元となった物質の姿をそのまま映し出すことができるのです。

まわりくどくなってしまいましたが、私達はこの世界を視覚に頼って見ている、さらにいえば実感しています。だから鏡の中に自分たちが見ている現実と同じような風景を見つけると、そこにも同じように現実世界があると錯覚してしまうのです。

私達は現実世界を確かに見ていると思っていますが、実際は周囲から反射してきた光刺激を感じているにすぎません。目に見えない無数の素粒子が私たちの身体を通過していっていることが、スーパーカミオカンデで証明されています。今この瞬間、私達のまさに目の前をです!

だから現実とは何か、私にとって現実世界とは何かを知ろうとすれば、この視覚からの刺激をきれいに遮断する必要があるのです。目を閉じて瞑想をする、お祈りをする理由はそこにあります。