先日ある飲食店でオーナーと会話している際に、ふとしたことから生命の価値についての話になりました。
この世にあるものにはすべて価値があるけれども、その大小はどのように決まるのか?と考えた時に、現在はすべて貨幣価値に換算して決まっていると誰もが答えるでしょう。
そこで、オーナーに「このテーブルの上に1億円のダイアモンドと1匹のゴキブリが乗っていたとして、どちらに価値があるだろうか?」と問いかけ、一緒に考えてみました。
比べようもない貨幣価値の差がある、ダイヤモンドとゴキブリです。しかも飲食店の中でゴキブリは不潔な存在で、話題にするのもはばかられます。
しかし、よくよく考えてみると、ダイヤモンドをじっとみつめていても、1年、2年・・・100年の時間をかけて見つめてもピクリとも自分から動くことはないでしょうし、どんなに時間が経ったとしても、ダイヤモンドが私の意思や感情を理解して反応することはないでしょう。
しかしゴキブリは、どんなに小さくても、脳の組織が複雑でなくても、じっと見ているとなんらかの意思を持って動き、私の動作になんらかの反応をするかもしれません。つまり予想のできない刺激を与えてくれる存在なわけです。
土や金属、空気などの無機物、つまりまったく生命でないものから生命を作り出すことは現代の科学では実現できません。何億円、何十億円の貨幣を投入しても、たった1匹のゴキブリを作り出すことはできません。
地球上に生物が私とゴキブリしかいないとすれば、このゴキブリにどれほどの価値があるでしょうか?
「生命というのは、すごいものですよね」と私が言うと、「すごいとしか表現できませんね」とオーナーが返してくれました。