先日テレビ番組で細菌のすごさについて紹介されていました。
砂やプラスチックを分解して、ミネラルを吸収しやすくしたり、人口物質を無害化したりするそうです。
細菌は単細胞生物で、細胞分裂によって増殖します。細胞は分裂するたびに遺伝子を複製するので、複製ミスも一定の確率で生じます。普通ミスから生じた遺伝子は役に立たないので、細菌の生存にとっては不利にはたらき、細菌の死とともに自然界から排除されてしまうのですが、まれにとても生存に役立つものが生まれることがあり、そのような遺伝子は細菌に新たな能力を獲得させます。抗生物質に対して耐性物質を産生する細菌が知られて“耐性菌”と呼ばれています。ウイルスの変異株も似たようなものですね。すでに自然界には多種多様な能力をもつ細菌が存在しており、冒頭に紹介した細菌もそのようなものの一つです。
世界中に存在する細菌が短時間で分裂を繰り返すのですから、自然界にはどんどん新しい遺伝子が生み出されています。長い歴史の中で自然界には人間による環境汚染以外にも隕石の衝突や地軸の反転などたくさんの危機が訪れてきました。自然を司る大いなる生命はそれらを自力で乗り越えてきたわけですが、この細菌による新しい遺伝子獲得という現象はその自然自体の治癒能力でもあるのでしょう。
この自然が調和を生み出すダイナミックなシステムに圧倒されるばかりです。