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突然、誰かが堂々と「私は死んだことがない!」と宣言したとします。聞いていた皆さんはびっくりして、一瞬本当だろうか?と戸惑われた後、「ああ、そうか、当たり前のことだった、ひっかけ問題だったのか」と気づかれることでしょう。
世界中のすべての生きている人に「あなたは死んだことがありますか?」という質問をしたとします。
現在生きている人に、生まれてから現在までの人生の途中で一度でも死んでいたことがあるか質問しているわけですが、全員「NO」と答えるはずです。
さて、ここで細胞レベルでこの問題を考えてみます。
現在生きている人は、自分の身体が母親の身体から出産を通して完全に分離した時に初めて生じたと思っていますが、はたしてそうでしょうか?
私はそこらへんの土の中から勝手に生まれてきたわけではありません。母親の身体を構成している無数にある細胞の中の一つ、卵子という細胞が受精して受精卵になり、それが成長して私になったわけです。
つまり私の身体はもともと母親の一部でした。
そして、同じ理屈で母親が祖母の身体の一部だったことも自明です。このように母親の細胞を代々昔にたどっていけば、最終的に最初の母親に行き当たることになります。
そしてこの代々の私の母親達全員に「あなたは(出産するまでの間に)死んだことがありますか?」と質問したとすると、やはり同じように「NO」と答えるはずです。
つまり最初の母親が生まれてから、現在に至るまで「私は死んだことがない」ことになるのです。
細胞というシステムはとてつもないものです。
最初のホモサピエンスは20万年前に生まれたと言われていますので、20万年間一度も死なずに生きてきたことが証明されました。さらに、ホモサピエンス以前の生物の歴史を含めれば、最初の細胞から始まって30億年以上死なずに生き続けているシステムということになります。
そんな建物や人工物がありえるでしょうか?
このように考えてみただけで、生命体という存在のすごさに改めて気づかされます。