ご縁があり、世界的なワンヘルス運動に関わる機会が増えてきました。
もともとは新興感染症のパンデミック発生に危機感を抱いた人々の発想から生まれた人間の健康と動物の健康を統合して考えるという運動です。
現状、人間が持っている病気は、長い年月をかけて、たいてい免疫でコントロールできるようなっているので、パンデミックを起こすことはありません。数百年前のことですが、麻疹(はしか)が初めてパンデミックを起こしたときは、大変多くの方が肺炎で死亡しました。しかし、多くの年月をかけて世界中の人が免疫を持つようになった結果、麻疹は死を意識するような病気ではなくなっています。
コロナウイルスもいずれは同じように怖い病気でなくなるのですが、また別の新たな感染症が発生することが確実視されています。
新興感染症はどうやって発生するのでしょうか、基本的には人間以外の生物の病気(病原微生物)がなんらかのきっかけで人間に感染し、さらに、それが人間と人間の間で感染するようになったときに起こります。
森林伐採など環境破壊が進んでいます。貧しい地域で人口爆発が起こり、食べ物を求めて森林に入る人が増えています。ペットを飼う人が増え、動物と人間の距離が近くなっています。飛行機などの輸送手段が発達し、発生した病気が数日後には全世界に広がるようになっています。
現代はこのように新興感染症が発生しやすい条件をたくさん備えているのです。