「自分くらい自分の心について知っている人はいない」と感じられると思います。それは私以外に私の心の中身を見ることができないからです。
しかし、実は人の心には階層構造があり、私たち自身ですらその表面しか知ることができません。
理解しやすくするために海の構造について考えてみます。
私達が普段見る海は白波が立つ海です。多くの魚がすみ、人間が潜れて実際に見ることのできる海はせいぜい水深数メートルくらいのものでしょう。
しかし深海と呼ばれる海は私達の知っている海の遥か深い場所にあります。光合成ができる水深200メートルから海溝と呼ばれる数千メートルの深さまであります。そこは深層海流という私たちの知る海流とは異なる流れがあり、深海魚が住む未知の世界です。
心もおそらく海と同じような構造をしています。深層心理と呼ばれる私たちの心理は普段使っている感情などとは全然違うものだと思った方がいいでしょう。私達が頭で考えるそんな浅はかなものではなく、私達の知ることのない場所で流れる深層海流のように、私達の思いもよらない数万代つながってきた先祖や会ったことのない世界中の人に繋がる深い心があるのです。
樹木で例えるなら深層心理は地中深くにある根にあたり、私達の普段感じる感情や、頭で考える思考は花や果実にあたります。
花や果実だけを見て、他人や自分を判断したりするのは浅はかな見方だと思います。