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貸借対照表

2022.05.02

category_[価値について]

昨日は日曜だったので、朝から三瀬峠にドライブしてきました。

三瀬峠は福岡市早良区から佐賀県への県境を越える峠です。

以前から気になっていた「三瀬そば」を目指して向かったのですが、11時前に到着したにもかかわらず2時間待ちと言われて、そばはあきらめることにしました。

とりあえず引き返しあてもなく車を走らせていましたが、何も食べずに出発したので家族の空腹も限界になっている頃です。ふと目に入った喫茶店の駐車場にすっと立ち寄りました。

何かおいしそうな看板があるわけでもなく、しかも喫茶店です。家族はなんとなく不満げでしたが、とりあえずトイレ休憩でもできればと中に入りました。駐車場は手作り感満載でしたので、お店の中は大丈夫かなと恐る恐るドアを開け、入り口にいた初老のマスターに「食事出来ますか?」と聞いてみました。マスターの顔はちょっと翳って躊躇が生じましたが、思いなおしたようにカレーかスパゲッティくらいならと言ってくれましたので、助かりますと言って席につかせていただきました。

やっと座れてほっとしていると、マスターがサラダを持って来てくれました。カレーにサラダまでつけてくれるんだという感じで、なにげなくサラダの中から取り上げたトマトを口に入れましたが、これがとてもおいしい!レタスもとてもいい味がするので、わたしはすっかりうれしくなって一気に緊張がとれてリラックスしました。すると喫茶店の建物がよく見えてきました。きっちりした作りのログハウスで、窓からはマスターがご自分で植えられたと思われるいくつかの立派な花が咲いているのが見えます。そして、建物の横を流れる小川がとても素敵で、川の向こう側の緑もすごく生き生きしている、そしてなんといってもすばらしいのが、その川をゆっくり眺めながら食事ができるウッドデッキです。まだ寒かったので、ガラス戸を開けてデッキに出ることはしませんでしたが、もっと暖かくなったら是非もう一度来てそこに座ってみたいと思いました。家内もそう言っていたので同じように感じたのでしょう。確認はしませんでしたが、脱サラしたマスターが奥様と二人で自然の中で悠々自適に過ごされている、そんな雰囲気の喫茶店でした。

さて、わたしがいいお店に出会うといつも考えてしまうのが、そのお店の事業の貸借対照表です。なんて風情のないことを考えるんだと思われたでしょう?

ところが、いつもわたしはこんなふうに考えるんです。

普通に貸借対照表を作るときは左側に資産を列挙し、右側には負債と純資産を書き出します。当然ですが、左右の金額は完全に一致していなければなりません。まずこのお店の資産を左側に書き出していきます。流動資産は分かりませんから適当です。そして固定資産ですが、このログハウス、そして駐車場の土地、その他、あたりまえですよね。でもわたしは資産はそれだけではないといつも思うんです。

川やその奥の森の風景、川のせせらぎの音、鳥や虫の音、もしかしたらマイナスイオンや風、そうそしてもっと大事なのは空気、そしてはてしない空・・・。紫外線や太陽風から守ってくれるオゾン層や磁場、建物を支えてくれる地面、もっというとこの土地を支えてくれるプレートやマグマ、地殻、大きく地球、重力、ニュートリノ・・・。あげればきりがないのですが、この素敵なログハウスはこれらのものが一個でも欠ければ成り立ちません。そう考えるといつも左側の資産の部が無限大になってしまうんです・・・。

これでは貸借対照表の左右のバランスがとれなくなってしまいます。

バランスをとるために、右側の欄に何を入れたらいいだろうかと考えてみました。何も入れなければ無限大の負債になってしまいます。わたしは「感謝」と「まごころ」を純資産の中に入れてみたいと思いました。

わたしたちの生活は、たくさんの恩恵に満たされています。種を植えただけで勝手になってくれる野菜やわたしたちを勝手に温めてくれる太陽や空気、これらを無視して数字だけ見る生活は味気ないものです。感謝しなさいといくら言われてもなかなか感謝できないわたしたちですが、このように考えてみると無理せずに感謝できるような気がするんです。