空を飛ぶということは、自分を地面に向かって引っ張る重力以上に空気の抵抗力を強くして、空中に浮かんでいるということ。さらにその抵抗力を強めたり、弱めたりしながら自分の位置を上下動させる。地面から空中に飛び上がるためには、一度にたくさんの空気抵抗を生み出さないといけない。こんな作業をするために両の翼はとても精巧にできている。
重力を弱めるために、骨をできるだけ軽くして、重みを少なくしているから、ちょっとした風が吹いても大きな抵抗を受けて翻弄される。抵抗に逆らうためには強い筋肉が必要だが、筋肉は重いので最低限の量しか身につけられない。だから強い風が来たら、翼を閉じて、空気抵抗をなるべく減らす。
そんなことを考えていくと、わたしのからだも含めてこの世界にあるものすべてがものすごく複雑巧妙にできていて、それらが調和を保ちながら存在していることにあらためて驚く。
「イムジン河」は北朝鮮と韓国の国境を流れる川ですが、この歌のメロディーと歌詞をかみしめるように聴き、その国境を飛びながら自由に行き来する渡り鳥の姿を想像して、それぞれの暮らす環境で、なぜかわからず望郷の涙を流す日本人、北朝鮮人、韓国人の姿をテレビで観ました。
自分のこころにまとわりつき、思い込みやネガティブな感情を引き起こすいろんなしがらみを超えて、こころの奥底から湧いてくる想い、そしてその想いが自然の姿を通して引き出されてくることに深い感動を覚えます。