前回の投稿を執筆しながら、心理学にも似た話があったのを思い出しました。
「EQ(こころの知能指数)」(ダニエル・ゴールマン著)の中から一つのエピソードを紹介いたします。(読みやすくするために本文をだいぶ省略して、それに合わせて表現を変更していることをお許しください)
4歳のこどもに向かって、実験者が次のように言います。
「ちょっとお使いに行ってくるからね。おじさんが戻ってくるまで待っててくれたら、ごほうびにこのマシュマロをふたつあげる。でも、それまで待てなかったら、ここにあるマシュマロひとつだけだよ。そのかわり、今すぐ食べてもいいけどね」。
4歳児は実験者が戻ってくるまでの気が遠くなるような20分ほどの時間を、マシュマロを見なくてすむように両手で目を覆ったり、腕組みをした上に顔を伏せたり、自分を相手におしゃべりしたり、歌を歌ったり、手あそびや足あそびをしたりして、内なる欲望とたたかった。そうして最後までがんばりぬいた子供たちは、ごほうびにマシュマロを2個もらった。おなじ4歳児でも、より衝動的な子供たちは目の前の1個のマシュマロに手をのばした。しかもほとんどの場合、実験者が「お使いに行く」ために部屋を出た直後に。
そして10数年後、園児たちが青年になった時点で追跡調査が行われ、4歳のときに誘惑に耐えることのできた子は青年となった時点で高い社会性、つまり対人能力にすぐれ、きちんと自己主張ができる力がついていた。しかし、マシュマロにすぐ手をのばした3分の1くらいの子供たちにはこのような長所がそれほど認められず、反対に心理的に問題の多い姿が浮かび上がった。対人関係を避けようとする姿勢が目立ち、強情な反面優柔不断で、小さな挫折にも心の動揺を見せる。そして10数年経ったのちにも、やはり欲求の充足を先に延ばすことができなかった。マシュマロ・テストの結果は高校卒業時の成績にもあきらかに反映されていて、4歳児の時にに受けたIQテストよりもはるかに正確にその結果をいい当てていた。
以上がマシュマロ・テストの内容です。もちろん読み物なので学術的に正確ではないかもしれませんが、欲求を自制することがとても重要であることをとてもよく教えてくれます。
誰も見ていない状況では、その人の自制心つまり本性があらわれます。こわいですね。
でも安心してください。この本の結論は人をEQでランクづけしたり、性格診断することではありません。それよりもIQ(知能指数)には生まれつき個人差があり、変えることが難しいけれども、EQ(こころの知能指数)はいくつになってからでもよくすることができるということを強調しています。4歳ですべてが決まってしまうわけではないんです。EQを活用することで、うそのように自分をコントロールできるようになります。どうしても変わりたいのに自分を変えられないと壁に当たっておられる方はぜひこの本を参考にしてみてください。