今日もEQからの話題ですが、以前からとても書きたかったテーマについて少し触れますので、今日はちょっと気合が入っています。
子どもたちの非認知能力、笑い、読解力について書いてきました。では大人たちはどうなのでしょうか?ちょうど良い例が「チコちゃんに叱られる」というNHKの人気番組で紹介されていました。「なぜ大人の時間は早く過ぎるのか」というテーマです。
番組では大人の代表としてタレントの岡村隆史さんが、子どもの代表として小学生が登場していました。小学生と岡村さんには「日曜日に何をしましたか」というような質問が出され、小学生はたくさんのことをしたと答えていました。いっぽうの岡村さんは家でボーっと過ごしていただけ。
岡村さんだけでなく、多くの大人がそういう毎日を送っています。大人は経験を積んでいくので、成長するにしたがって新しいことに遭遇することが少なくなります。毎日起こることは子どもも大人も同じですが、子どもは、お母さんがウィンナーをタコの形に切ってあげると喜び、大人は「今日のおかずはウィンナーか」と考えるだけ。そこが子どもと大人の違いです。
(EQトレーニング 高山直 日経文庫)
わたしがこの文章を特に大事だと感じたのは、「大人と子どもでは時間の流れ方が違う、そしてその違いはEQつまり感性の違いによって生じる」ということを具体的に示していただいたからです。感性の違いが時間の流れさえも変えてしまうという事実はわたしにとっては衝撃的な話でした。この文章の中で示していただいたとおり、子どもは「タコさんウィンナー」を見ただけで喜ぶ感性を持っています。この事実はとても重要です。
人はものの価値を無意識に値段でとらえています。たとえばレストランなどで壁にかかっている絵をなにげなく見て何も感じなかったのに、その絵が数億円の絵だと知らされたら、全然見る目が変わってしまいます。もしかしたら食事そっちのけでずっとその絵を見ているかもしれません。それくらい人間の価値観というのはいい加減で、適当なものなのです。
逆に言えば、この小学生のように高価でないウインナーであっても、それを見てとてもうれしければ、その子にとってそれはとても価値あるものになります。
この子はこの日曜日に見たもの、もらったもの、いろんな経験を通して、一日がとても長く感じるほどたくさんの感動を得ていました。この感動をすべて値段に換算していけばとてつもない値段になることでしょう。そうなのです。価値は値段が決めるのではなく、受け止める側の感性が決めるのです。感動した分だけその方はたくさんの価値を得ていることになります。
つまり感動する力をたくさん持っている人ほど、お得だということです。
大人になれば感動する力が弱くなり、価値を得にくくなるのでしょうか?いいえそうではありません。感動する力はEQを鍛えることで強くすることができるので、EQが注目されるようになったのです。どんなに年齢を重ねてもEQの力は衰えません。毎週老人ホームでお会いするおばあちゃんが、デイサービスで作った塗り絵をわたしに見せてくれます。毎回、作ったものすべてです。1個も省略されません。そしてすべて壁に貼ろうとされるので、壁が足りなくなったといつも言われています。塗り絵一つでもこれだけ感動できるのだなと毎週感心していましたが、EQを知って合点がいきました。
わたしたちはいつまでも「幼子のような心」で生きていくように心がければ、たくさんの価値を得ることができるのです。