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光電融合技術

2023.09.16

category_[量子力学]

先週NTTの関連会社が新たな技術についての発表を行いました。

少しその内容を説明してみたいと思います。

家庭で使う電気製品は、冷蔵庫でも掃除機でもコンセントに電線につながったプラグを差し込むことで作動します。つまり、コンセントから電線を通して電気を供給してもらって初めて動くようになっています。それらの電気は家で勝手に生じるわけではありません。電気会社から各家庭に延ばされた電線を使って、電気を供給してもらって使用できるのです。

さて、インターネット技術が世界中に広がっていった頃、パソコンからパソコンへのデータの移動は電線を用いて行っていました。家庭用の電線を介してネットに繋がっていた時期は、データを受け取るのに大変な時間がかかっていたことを思い出します。しかしその後光回線が利用されるようになり、光を使ってものすごいスピードでデータがやりとりできるようになりました。

電線を使っていた時は電線の中を電気が流れていました。もっと砕いて言えば、金属の原子の間を電子が少しずつ流れて信号を伝えていました。イメージしやすい例えで言えば、土の中を流れる地下水のような感じです。流れはするのですが、土の粒子に阻まれながら少しずつ流れる感じです。光ファイバーは光(光子という素粒子)が抵抗なくすっと飛んで信号を伝えます。

抵抗があればスピードが遅くなりますし、摩擦で熱が生じます。電線を使って電気を流すと熱が生じるのです。スマホを長く使っているとものすごく熱くなりますよね。あれです。

さて、光電融合技術というのは、スマホの中の電線も全部光ファイバーにしてしまおうというものです。この技術は将来的にはすべての電気製品を光で動かそうという話につながっていきます。

電気の代わりに光を使うと電気抵抗がないので、ほとんどエネルギーロスがありません。電気製品を動かすのに必要だった大量のエネルギーがぐっと抑えられる結果になります。つまり、発電所がそんなにいらなくなるという話です。環境汚染の原因が格段に減る結果になります。

NTTは、まだそこまで考えていないかもしれませんが、光(つまり素粒子)を使用して動くエンジン、“光エンジン”は半導体の代わりになるだけでなくもっと汎用性のあるものです。なぜそう言い切れるかというと、私達の身の回りにはすでにたくさんの“光エンジン”が動いているからです。

植物の葉っぱの中にある葉緑体、つまり光合成システムは太古から存在する“光エンジン”なのです。光と空気と水があるだけで勝手に成長し、梨やバナナやメロンなどの果実を作り出し、時には数十メートルの高さにまで成長する植物。こんなにすごい生命システムは“光エンジン”を用いていたのです。

生命システムを基盤にしたエネルギーシステムは、考えられないほどクリーンで自然なシステムになる可能性があります。また“光エンジン”は“量子コンピューター”でもあるので、他の生命に触れるだけで、パソコンのように接続して情報伝達ができるようになるかもしれません。

どうも世の中はもう一段階脱皮して、新たなシステムに移行していきそうです。

夢のような世界が、すぐそこまで来ているような気がします。