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千の風になって

2022.07.07

category_[イメージトレーニング]

朝起きて、「わたし」という存在は「物質」なのだろうか、それとも「現象」なのだろうか?と考えました。

物質というと、荒野に百年も千年も鎮座しているような大きな岩のようなずっと変わらない姿をイメージしてしまいますが、実際のからだは生物なので毎日毎秒構成する原子が入れ替わり、見た目も徐々に老化して変化します。一瞬として同じ状態でいることのない物質です。そしてあといくばくかの時を経ると消えてなくなってしまいます。物質は物質ですが、けっこうはかない物質です。

いっそのこと、わたしという存在を現象と考えればどうだろうかと考えたわけです。昨日降った夕立のように一瞬現れ、そして今朝は欠片も存在しないような現象・・・。わたしが現象であれば、ふと現れて誰かを喜ばせたり、泣かせたり、いろんな影響を与えて過ぎ去っていくそんな存在だと考えるのです。あ~、こんなとらえ方もいいなと思いました。

そこで、「今日は風という現象になってみよう」と唐突に考えてみました。

たくさんの小学生が通学する歩道を風になって歩いてみました。

だれもわたしに気づきません。

穂の落ちた道端の麦をゆらしてみました。枯れた麦の茎はまわりの茎と触れ合って、カサカサと音をたてました。

楽しそうに笑う子に触れてみました。長い髪がなびき、その笑い声は一瞬遠くまで響きました。その子は少しでも、涼を感じてくれたでしょうか?わたしはその子にとっては記憶に残らないような一瞬の風です。

そんなことを想像しながら30分ほど歩き、あ~、こんな生き方もいいなと思いました。ありのままを受け入れて、こだわりなく生きる人生です。目標を達成したいとか、名を残したいとか、一瞬の風には必要のないことです。

何かまわりの空間とわたしとの境がなくなった感覚でした。じわっとかいた汗がわたしの汗なのか、湿度が溢れて空気が水滴になったのか区別がつかない感覚です。

きっとわたしは雲にもなれるし、海にもなれます。

でもこだわりがないことと、何もないことは同じではありません。

わたしは、わたしという「現象」と出会った方々を通してきっと何かを感じ、きっと何かを残しているはずです。