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人間が成長するとは1

2023.12.13

category_[所感]

およそ10か月の胎内生活を経て生まれた人間は生後1年ほどをかけて、免疫機能を始め身体の構造や機能を胎外の環境に順応させていく。そして、その後も少しずつ肉体を成長させ、青年期にその機能はピークを迎える。やがて、肉体は老化を始め、壮年期を経て老年になりやがて肉体の生活を終了する。

このように人間の肉体の一生の大まかな変化のパターンは病気や事故などの外的要因の影響を受けない限り、世界中ほぼ同じである。

人が成長するという場合、このような肉体の成長を指す場合が多いが、それとは別に精神的な成長を指す場合もある。人間の精神が成長するのは間違いない。幼稚園生と大学生ではその知能はまったく異なるし、コミュニケーションなどの社会的な能力にも大きな差がある。つまり多くの知的学習を通して物質的には脳内の神経同士の接続の数やパターンに違いが生じることによって、多くの知的能力を後天的に獲得できるのである。しかしこれらの変化は脳機能の問題であるから、肉体的な成長に含められるかもしれない。

このように考えてくると、わたしたちが精神的な成長という言葉を用いる場合には知的な能力の向上のことを言っているわけではなさそうだ。

では人の成長とはどのようなものだろうか?

成長するということは肉体の成長になぞらえて考えると大きくなることを意味する。確かに偉大な人物というのは存在するし、そのような人物に出会うとその存在を“大きい”と感じるものである。その際、肉体の大小はいっさい関係ない。

つまり人間が成長するということは、肉体の大小に関係なく、精神的に成長することであり、客観的に感じられるものであるらしい。

とすれば、どのような人物が“大きい”人物であるかを知らなければ、わたしたちはどのような方向に成長したらいいかがわからないことになる。しかし、これがはなはだ難しい。

多くの人がそれぞれの価値基準を主張する現代において、何をもって大きい人物であるかを論じるのは、百家争鳴の議論を招く不毛なものになるしかないであろう。

そこで一旦人物の大きさの問題は横に置いておいて、成長の過程に注目して考えてみたい。